当施設は、昨年度から指定管理制度を導入し、社会福祉法人が運営しています。
昨年度は、今までと同じ金銭管理方法をしていたのですが、
今年度からは、指定管理者の社会福祉法人の方法で行うことになりました。
そこで、県から通達された金銭管理方法を見直してみました。
県からは、平成12年6月30日に各施設の代表者宛に、
「入所者預かり金の適正管理等について」という県健康福祉部長通知が出されていました。
その中には、
本県、保健・福祉行政の推進につきましては、日ごろからご協力を賜り感謝申し上げます。
さて、昨年度、県内で、福祉施設経営者等による利用者に係る金銭管理をめぐる不祥事が相次いで発生しており、保健・福祉サービスの利用者に係る預かり金等の取扱については、適正な管理が強く求められている状況にあります。
各施設におかれては、利用者から預貯金・現金等を預かるに当たっては、一定のルールのもとに適正な管理に取り組んでいただいているものと思いますが、現在、預かり金を有する施設にあっては、その内部管理体制等について再度ご点検いただきますとともに、まだ、預り金に係る内部管理のルールを規程等として整備されていない施設にあっては、早期にこれを定め、法人役員・施設職員・利用者等関係者間でルールを共有することにより、適正管理に万全を期していただきますようお願いします。
また、現在、預り金等が無いとする施設におかれましても、本通知の趣旨にご留意いだだき、今後の施設運営に当たっていただきますようお願い申し上げます。
なお、参考までに、入所者預り金に係る留意事項及び入所者預かり金等取扱規程(例)を添付いたしますので、再点検・規程の整備等にあたってご留意願います。
と書いてありました。
平成11年に本件では、金銭管理のトラブルが起きていたんですね。
利用者預り金にかかる留意事項
留意事項 1
一律に利用者の所持金を自己管理が可能な者についてまで預り金として管理していることはないか。
留意内容
利用者の所持する現金は利用者自身で保管するのが望ましいが、心身の状態及び設備の状況により自ら保管することが困難と認められた場合は、長等の管理のもとに事業者の手持ち金と区分し、厳重に保管すること。
利用者または家族から預り金に係る依頼書(契約書)を徴すること。
なお、利用者自身が保管する場合にあっては、当面の日常生活等に必要な限度にとどめ、残金は極力預金するよう依頼することや安全に保管できるよう設備等を整備するなどの事故防止のための配慮が必要であること。
留意事項2
預り金台帳、証憑書類は整備されているか。
留意内容
預り金に係る利用者毎の状況を常に明らかにできるよう、台帳、受領書、入出金依頼書、領収書等の関係書類を整備しておく必要があること。
留意事項3
受け払いの状況は明確であるか。
留意内容
預り金に係る担当職員を定め、受け払いは担当職員が行うこと。
預り金が利用者別の個人通帳になっていること。
現金による預りは最小限にとどめること。
判断能力のない利用者本人の出金にあたっては、担当職員、施設長、担当寮母等複数名で協議を行うこと。
担当職員以外の職員がやむを得ず現金を預かる場合は、長の承認を得て現金出納簿等を作成のうえ出納業務を行うこと。
家族からの出金申し出には、入所者本人の同意を得ておくこと。
留意事項4
管理体制は整っているか。
① 通帳保管者、印鑑保管者がそれぞれ別に定められ、その保管場所も別々になっているか。
留意内容
台帳の記帳、現金の取り扱い、通帳、印鑑の管理が一人の職員・場所に集中していないこと。
② 預り金の管理状況は施設長等により定期的に点検されているか。
留意内容
預り金台帳及び現金出納簿など関係書類に基づき、毎月末で締切るなどし、定期的にチェックしていること。
③ 預り金の収支状況を定期的に入所者(必要に応じて家族)に知らせているか。
預り金の状況を利用者(家族)が確認できる体制にあること(概ね4半期に1回定期的に周知すること)。
社会福祉法人○○○会 入所者預り金等取扱規程(例)
(目的)
第1条 この規程は、社会福祉法人○○○会が設置運営する○○○○施設○○○園(以下「施設」という。)において、入所者が所有する現金及び有価証券、保険等の証書並びに印鑑を預かる場合の取扱を明確にし、管理の適正化を図ることを目的とする。
(管理の原則)
第2条 入所者が所有する現金、証書及び印鑑等は、入所者が自ら管理することを原則とする。ただし、次の各号に一に該当するときは、施設で管理することができる。
(1)心身の障害その他の理由により、入所者又は家族等(以下「入所者等」という。)から施設に対し管理の依頼があったとき
(2)心身の障害その他の理由により、入所者処遇を行ううえで、施設が保管する必要があると施設長が認めたとき
(管理責任者)
第3条 前条ただし書きの規定により、施設が管理する入所者所有の現金、証書又は印鑑(以下「預り金等」という。)の管理を適正に行うため、保管責任者及び出納責任者を置く。
2 保管責任者には施設長を充て、印鑑の保管、預り金大腸の管理並びに預り金に関する諸帳簿の検査を担当する。
3 出納責任者には主任生活相談員を充て、印鑑以外の預り金等の保管及び出納を担当する。
(管理帳簿)
第4条 預り金等の管理のため、次の帳簿を備える。
(1)預り金等大腸(総括表及び個人表)
(2)預り金小口現金出納帳
(3)入所者別預貯金残高一覧表
(管理委任手続き)
第5条 施設に対し預り金等の管理を依頼するときは、入所者等は金品管理委任状を施設長に提出する。
2 施設は、複数の立ち会いのうえ、預り金等の内容を相互に確認し、入所者等に対し、預かり証を提出する。
3 預り金等のうち現金については、入所者の所持する本人名義の通帳、又は、施設が指定する金融機関に開設した本人名義の通帳に、速やかに預け入れなければならない。
(預入手続)
第6条 入所者等から通帳への入金依頼があったときは、複数の立ち会いのもとで、入所者等の提出した預貯金入金依頼書を現金に添えて、出納責任者に引き継ぐ。
2 前項により現金を引き継いだときは、入所者等へ預り証を提出する。
3 現金を引き継いだ出納責任者は、第5条第3項に定める通帳に速やかに預け入れる。
(払戻手続)
第7条 入所者は、現金の払戻を希望するときは、現金払出依頼書を施設に提出する。
ただし、定例的な支払い(国民健康保険税、費用徴収金等)については、入所者の委任状に基づき、施設において支払うことができる。
(小口現金)
第8条 預り金の払出の便宜を図るため、施設では、預り金に係る小口現金を保管することができる。
2 小口現金の額は入所者1人につき1万円を限度とする。
3 物品購入等に係る小口の支払請求があるときは、施設が支払いを代行し、領収書又はレシートを証憑として保管する。
(定期的な支払い)
第9条 継続的に購入する物品(新聞、雑誌等)の購入及び支払いについて、入所者から依頼があったときは、次により取り扱う。
(1)入所者は施設に対し購入依頼及び支払承諾書を退出する。
(2)施設では、前号の文書に基づき、代金支払い時に入所者等の通帳から支出する。
(3)入所者から購入契約解除の申出があったときは、施設では速やかに対応する。
(諸帳簿の検査)
第10条 管理責任者は、入所者預り金に関する諸帳簿について、毎月1回以上検査を行う。
(管理状況の提示)
第11条 入所者から預り金等の管理状況について説明を求められ、通帳等の閲覧が求められたときは、施設は当該入所者に関わる必要書類を速やかに提示しなければならない。
(返還手続き)
第12条 預り金等は、次の各号の一に該当し、施設長がこれを認めたときに、返還する。
(1)入所者等から返還要請があったとき
(2)入所者が退所するとき
2 預り金の返還は、施設長の承認を得た後、複数の立ち会いのもとで行う。なお、施設長が必要と認めるときは、措置の実施機関と連絡調整のうえ行う。
3 現金及び各種預貯金については、預り金台帳及び証拠となる書類と通帳とを照合し確認のうえ返還する。
4 各種預貯金以外については、預り証と照合し確認のうえ返還する。
5 入所者が死亡により退所するときは、措置の実施機関の指示により、返還する。
(秘密の保持)
第13条 預り金等の管理に関し、次の事項を守らなければならない。
(1)預り金等の管理に携わる職員は、職務上知り得た秘密事項及び入所者等の不利益になる事項を、他に漏らしてはならない。
(2)入所者又は身元引受人の承諾を得ずに、預り金等の内容を公表してはならない。
(補 則)
第14条 この規程に定めるほか、預り金等の管理に関し必要な事項は、理事長が別に定める。
附則
この規程は、平成○年○月○日から施行する。
となっていました。
当施設では、昭和57年度から金銭管理要綱を作成し、金銭管理を行っていました。
それ以来、指定管理に移行するまで、不祥事はありませんでした。
ちなみに、私より10年くらい先輩の元施設職員から、
「なぜ、金銭管理が厳しくなってきたか知っているかと言われ。」
「知らない」と答えると
「私の仲間が、不祥事を起こしていまい、それから厳しくなったのだ。」
ということでした。
金銭管理は、きちんとやらないとね。