養護老人ホームでも、特別養護老人ホームでも一番大変なのは、入所者の預り金です。
本来なら他人のお金など預からないにこしたことはありません。
しかし、入所者の支払いや養護老人ホームの場合は、
1年間の収入と支出を措置機関に報告しなければならないため、
そうも言っていられません。
以前は、特別養護老人ホームも介護保険ではなく、
措置の施設でしたので、
入所者のお金を預かっていたものでした。
介護保険の施設になってからは、
主に家族に預かってもらい、
施設で預かる場合は、
管理料を徴収している施設が多いようです。
措置の時代には徴収できなかった管理料がどうして徴収できるようになったのでしょう。
特別養護老人ホームは、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第46号)と
「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日老発第0530002号)によって運営されます。
以前は、「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(昭和41年7月1日厚生省令第19号)でしたが、
上記の特別養護老人ホームの基準が告示された時に、
特別養護老人ホームの部分が省かれ、
「養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(昭和41年7月1日厚生省令第19号)となりました。
さて、特別養護老人ホームの場合、この基準の他に、
介護保険施設としての、
「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第38号)と
「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日老企第44号)(課長通知)にも従わなければなりません。
この「基準」の第9条にと「基準について」の第4の7利用料等の受領に
日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるものを受領できるとなっています。
その日常生活においても通常必要となるものに係る費用は、
「その他の日常生活費」として、
「通所介護等における日常生活費に要する費用の取り扱いについて」(平成12年3月30日老企第54号)(課長通知)に定められています。
その別紙の中に、
(4)介護福祉サービス、介護保健施設サービス及び介護療養施設サービス
の場合、
④預り金の出納管理に係る費用
と規定されているので、
特別養護老人ホームでは、入所者の預り金の管理料を徴収することができるのです。
養護老人ホームには、このような規定はないので、
入所者の預り金の管理料を徴収することはできません。
特別養護老人ホームにしても、
老人福祉施設としてではなく、
介護保険施設として預かり金の管理料を徴収することができるのです。
さて、特別養護老人ホームの入所者の管理料ですが、
月額、1,000円から3,000円のようです。