毎年11月23日に、全国の神社で一斉に行われるのが新嘗祭(にいなめさい)です。
これは、いわば収穫祭のことです。
「新嘗」は、もともと「新饗(にひあえ)」と読み、その年に新しく収穫された穀物のことです。
春から丹念に時間を手間をかけて育てた農作物が、実りの秋に刈り取りの季節を迎えます。
これで今年もどうにか生きていく事ができる。
そんな思いと、食べ物に対する感謝とが、祭りへと昇華していったのです。
稲作が始まった弥生時代初期から新嘗祭の原型ともいえることが行われていました。
飛鳥時代の7世紀前半に、宮中の行事として正式に取り入れられました。
儀式は、天皇陛下が執り行います。
皇居の中にある宮中三殿の敷地内、神嘉殿(しんかでん)に、陛下が新穀を捧げます。
そして、陛下はこの新穀を自ら召し上がるのです。
このようにして、五穀の豊穣を神に報告し、感謝するのです。
2013年には、宮中での新嘗祭の様子が初めて公開されました。
このような儀式が、全国各地の神社でも同じように催されるのです。
新穀を捧げたあとに、巫女による舞が演じられる神社もあります。
新嘗祭は、もともとは、11月の2度目の卯の日に行われるしきたりだったのです。
それが、明治の太陽暦の採用によって、11月23日へと改められました。
現在は、11月23日は新嘗祭の日ではくなっていますね。
これは、日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって、勤労感謝の日とされたからなのです。
国家神道を警戒して、正教を分離するのが目的だったといわれています。
また、新嘗祭のような収穫物に対する感謝の儀式は、世界の各国で行われています。
どの民族も、収穫の秋を神に報告するのですね。
ハロウィンも実は、古代ケルト人の収穫祭が元になっているのです。