地鎮祭とは
現在でも新しく建物を建てるときには、地鎮祭を執り行うことが多いですね。
これは、「とこしずめの祭り」ともいわれます。
作業をするに当たって、その土地のケガレを清め祓って、土地に宿る神様を鎮め、建設の許しを乞い、安全な工事を祈願するための儀式です。
巨大ビルを建設するときも、一般の家を建てるとも、道路やトンネルを作るときも行われますね。
平安時代は、陰陽師と呼ばれる吉凶や災難などを占う呪術師が行っていましたが、明治以降、陰陽師に代わって神主が中心に行うようになりました。
地鎮祭では、斎竹(いみたけ)という清めの意味を持つ青竹を土地の四隅に立て、これをぐるりと注連縄で囲みます。
神社の注連縄と同じように、結界を張るためです。
そして、八脚の木の代の上に咲か木の枝を立て、神垂(しで)と木綿をつけます。
これは、紙籬(ひもろぎ)といって、神社や神棚以外の場所で神事を行うときに必要とされる、臨時の依代なのです。
準備が整ったら、米や酒、野菜などをお供えし、神主が祝詞を上げて土地や参列者をお祓いします。
結界の中央に盛られた砂にお神酒をかけ、施工主が盛り土に鍬入れをします。
この鍬入れは、神霊の守護のもとで地面を掘り起こすという意味があるそうです。
最後に施工主や家族・建設関係者たちが神霊に玉串を供えて地鎮祭の儀式を終えます。
その後は、建設関係者たちや施工主や家族も加わって、祝宴となるのが通例ですね。
上棟式とは
家の骨組みができあがって、いよいよ柱や梁(はり)の上に棟木を上げる際に、「上棟式(じょうとうしき)」、「棟上式(むねあげしき)」を行うことがあります。
これは、その名の通り棟木を引き上げるための儀式です。
木造の家では棟木が屋根を支える重要な役割であることからこうした儀式が生まれました。
足場のよい玄関や廊下などの部分に簡単な祭壇を作り、そこに野菜・酒などと荒い米・塩を持った皿を用意します。
そして、幣串(へいぐし)と呼ばれる魔除け飾りを、縁起の良い方向(恵方)に向けて棟木の支柱にしばりつけ、屋根を葺くときまで飾っておきます。
上棟式は、建築が完成間近まで進んだことを土地の神霊に報告して、感謝するための儀式です。
本来は神主を招くのが正式ですが、最近では神主を招かずに、大工の棟梁が中心となで、現場で活躍したとび職や左官たちの手で行うことがおとんどです。
その後に建物から餅やお菓子、小銭を撒く「餅まき」を行うことがありますが、一般家庭では廃れてきていますね。
私が子どもの頃は、新築の家があると、必ず「餅まき」があり、近所の人々が集まったものでした。
餅と大根に挟んだ5円玉がまかれましたね。
その後は、現場ににわか誂えの机を作り、主演を催すのが一般的です。
この儀式には、現場で働いた職人たちへの労いの意味も含まれているのです。
施工主は祝儀を用意して酒宴に加わり、もっぱら棟梁はじめ現場で活躍した職人たちに祝儀を渡し、もてなし役に回ります。
日本の最古の地鎮祭の記録は『日本書紀』にあるそうです。
692年に「新益京(しにゃくのみこと:藤原宮)の地を鎮め祭らしめた」と記載されています。
その2年後に、持統天皇は飛鳥から藤原宮に遷都しているのです。