磁石は磁石と引き合ったり、反発したりします。
磁石には、北(North)を指す「N極」と南(South)を指す「S極」があります。
同じ磁極どうしでは、反発するので、S極とS極は反発します。
N極とN極も反発します。
S極とN極は引き合います。
地球は巨大な磁石なのです。
地球の磁極の位置は時点の極とほぼ一致していて、自転の北極近くにはS極があり、南極近くにはN極があります。
そのため、方位磁石はN極がだいたい北を指し、S極がおおむね南を指すのです。
地球を巨大な磁石にしているのは、地球内部を流れる電流だと考えられています。
地球内部は融けた岩石でいっぱいですが、これがゆっくりと対流すると一緒に電流も流れます。
融けた岩石が地球内部でぐるぐる渦を巻くと、電流が流れて磁石となり、電磁石の原理で磁場が発生し、地球を磁石にするのです。
このように、星の内部で電導性の流体が流れて磁場を発生するという説は、「ダイナモ(発電機器)理論」と呼ばれています。
星の内部の運動が発電器のように電気をつくることから「ダイナモ理論」と名付けられました。
水星や月には磁極がありません。
したがって、水星や月では方位磁石は役に立たないのです。
星や月に磁気がないのは、内部が冷えているため、地球のように溶けた岩石の対流が起きていないと考えられているからなのです。
惑星ではありませんが、太陽もやはり磁場を持つことが知られています。
高温ガスでできている太陽の内部は盛大に対流していて、強い磁場つくっているのです。
しかし、太陽の場合は、磁極と自転の極とは一致していません。
黒点として現れるのです。
黒点は、太陽の磁極なのです。
黒点は、現れたり消えたり移動したりするので、太陽の表面では方位磁石は役に立たないのです。
地球のように、自転の極と磁極がほぼ同じ惑星は、珍しいのです。
磁石にどうして鉄がくっつくの?
鉄が磁石に近づいて磁場にさらされると、鉄はそれ自身が磁石に変化します。
N極が近づいたところはS極になり、S極が近づいたところはN極になるので、磁石と強く引き合うのです。
磁場が強いと、鉄は磁石になったまま戻らなくなります。
磁場にさらされたときに物質が振る舞う性質を「磁性」といいます。
鉄のように、強い磁場にさらされると自らも磁石になって元に戻らなくなる物質は「強磁性」を持つといわれます。
強磁性を示す物質には、鉄のほか、ニッケル、コバルトなどの金属があります。
鉄、ニッケル、コバルトは磁石にくっつくんですね。
外部の磁場がなくても磁場を維持できる強磁性物質は、「永久磁石」となります。
永久磁石は電気モーター、発電器、パソコンの内部に入っているハード・ディスク・ドライブなどの部品として欠かせないものとなっています。
また、このような強磁性物質は外部の磁場の向きを「記憶」するので、記憶媒体をして使用されます。
記憶媒体とは、ハード・ディスク・ドライブの記憶部分のディスク部、フロッピー・ディスク、音声データを記録するカセット・テープ、今ではほとんど見なくなったビデオ・テープなどです。
優れた性能を持つ強磁性物質は、容量の大きな記憶装置や強力な電気モーターを可能にするので、新しい強磁性物質の開発が常に行われています。
鉄のような強磁性物質はまれで、ほとんどの物質は磁場にわずかしか反応しないのです。
磁場にわずかしか反応しない物質に磁石を近づけても強い磁石になることはないので、磁石にくっつかないと思ってしまいますが、実は弱く引かれている場合や、逆に弱く反発している場合があるのだそうです。
磁石に反発する物質は「反磁性」があるといわれます。
反磁性がある物質が磁場にさらされると、逆向きの弱い磁場を発生します。
N極が近づくと弱いN極になり、S極が近づくと弱いS極になります。
そのため、この物質に磁石がくっつくことはありません。
強い反磁性物質は珍しいのですが、ビスマスという金属や低温に冷やした超電導物質は強い反磁性を示します。
たいていの非金属の磁性は弱く、磁石を近づけてもほとんど反応がありません。
しかし、非金属でも強い磁性を持つ物質があります。
たとえば、酸素分子は、鉄ほどではありませんが、磁石に引き寄せられます。
酸素を冷却して液体酸素にすると、磁石にくっつくのです。