アメリカの広告マンで、市場調査の専門家でもあったジェイムズ・ヴィカリーが1957年に、
映画の上映中、コンマ数秒のコーラの写真を混ぜておくという実験を行いました。
16週間の間、映画を見に来た4万5000人に、「コーラを飲め」と指示するフラッシュ映像を紛れ込ませた映画を見せたそうです。
実験の結果、コーラが18%、ポップコーンが57%売り上げが伸びたそうです。
このように、映画などの映像の中に、コンマ数秒の写真を混ぜたフラッシュ映像を見せると、その映像を見た人はその映像に誘導されることを「サブリミナル効果」といいます。
しかし、これと同様の実験を、アメリカやカナダのテレビ局が行いましたが、同様の結果を得ることができなかったとのこと。
カナダ放送協会が「クローズアップ」という人気番組の中で、視聴者に、局に電話するように訴えるフラッシュ映像を400回流してみたが、電話をかけてくる人は1人もいませんでした。
ある心理学科の大学生がヴィカリーの実験が行われた映画館を訪ねたところ、実験の期間内に4万5000人を収容するのは不可能なほど小さな映画館で、映画館の館主もそのような実験は行われなかったと証言したそうです。
1962年、ヴィカリーは、広告専門誌のインタビューで、今までウソをついてきたことを認めました。
実験など行っておらず、したがって、サブリミナル効果なんてものはない。
全ては倒産寸前の自分のコンサルタント業の業績回復のために作り上げたウソだったのです。
しかし、サブリミナル効果の提唱者であるヴィカリーがウソだと認めた後も、一般大衆から有名企業に至るまで、いまだに信じている人が多いですね。
どうしてなんでしう?
ヴィカリーの実験がウソだったとしても、サブリミナル効果はあると信じている人が多いからなんでしょうね。
特に権威がある人からサブリミナル効果はあると言われると信じてしまいますよね。
アメリカの作家、ウイルソン・ブライン・キイは、サブリミナル効果を信じて、社会の中で利用されているサブリミナルメッセージと戦うことを使命としていたそうです。
P&Gという会社のロゴに、悪魔崇拝のサブリミナルメッセージが使われていると主張したそうです。
月をかたどった男性のヒゲの部分に、キリスト教における悪魔の数字である666が示されているというのが彼の主張でした。
人々は心理学の権威であるキイの主張を信じて運動を起こし、そのロゴマークを廃止させるまでに至りました。
記憶したい内容を睡眠中で聴くだけで、その内容を記憶できるというサブリミナル効果を利用した教材などが売られています。
睡眠中に記憶できるのならと思わず手をだしてしまいそうですが、サブリミナル効果は誤りであると証明されているので、手を出さない方が賢明ですよ。
でも、もしかしたら…と思ってしまいますけどね。