介護保険制定・施行以前
介護保険が制定・施行される前、
養護老人ホームで入所者を直接お世話する人を寮母(寮父)と呼んでいました。
養護老人ホームは元気な人を対象とした施設ですが、
長年生活していれば、介護が必要な人も出てきます。
本来なら、介護が必要な人は特別養護老人ホームへ移ると良いのですが、
今も昔も特別養護老人ホームは、順番待ちでなかなか入所できません。
介護が必要な養護老人ホームの入所者は、寮母(寮父)が行っていたのです。
特別養護老人ホームで入所者を直接介護する人も寮母(寮父)と呼ばれていました。
当時、養護老人ホームには、「老人福祉法による養護老人ホームにおける病弱者加算制度について」(平成10年8月7日老発第507号厚生省老人保健局長通知)というものがありました。
養護老人ホーム入所者のうち特別養護老人ホームへの入所対象者となる者と障害年金、障害福祉年金、老齢福祉年金を受けている者、問題行動の軽度が項目以上又は中度が1項目以上ありその状況が継続すると認められる者が、入所定員の30%以上入所している施設に加算されました。
加算単価は、100人定員の施設で、加算対象者1人あたり(月額)25,000円でした。
加算対象者が30%の30人いれば、25,000円×30人×12月=9,000,000円/年となっていました。
介護保険制定・施行時
平成12年(2000年)に介護保険が施行され、
特別養護老人ホームは介護保険施設に変わりましたが、
養護老人ホームは、介護保険は適用外でした。
養護老人ホームでの介護は、いままで通り職員が行っていました。
一つ変わったのは、寮母(寮父)という名称だったのが、介護職員という名前に変わったことです。
加算も上記の「老人福祉法による養護老人ホームにおける病弱者加算制度について」(平成10年8月7日老発第507号厚生省老人保健局長通知)によって加算されていました。
特別養護老人ホームへの入所対象者となる者が介護保険法における介護老人福祉施設への入所対象となる者と同程度の状態であると認められる者に変わりました。
平成18年の介護保険等改正時
養護老人ホーム固有のサービスの中には介護サービスは含まれないとの整理を行ったことやソーシャルワーク機能の強化を図る観点から、職員配置基準の見直しが行われました。
養護老人ホームの介護職員は、支援員という名称となり、介護でななく家事援助系サービスや生活援助サービスを行う職員と整理されたのです。
そのため、介護については、介護保険サービスを利用できるようになりました。
しかし、軽微な介護サービスについては、必要に応じ、支援員の業務として行って差し支えないというグレーなもの。
介護保険サービスを利用する方法としては、
介護保険事業所と養護老人ホームの入所者が個人的に契約して、ヘルパーが施設へ訪問し介護を行うもの。
養護老人ホームが特定施設入居者介護の指定を受け、介護計画は、施設の計画担当者が行い、委託した外部の介護保険事業者の職員が施設へ訪問し介護を行うもの。
養護老人ホームの場合は、介護を外部の事業所へ委託する、外部サービス利用型特定施設入居者介護の指定しか受けることができませんでした。
軽費老人ホームや有料老人ホームのように一般型の特定施設入居者介護を利用できるようになったのは、平成28年度からです。