都道府県の選挙管理委員会が指定した病院、老人ホーム、原子爆弾被爆者養護ホーム、身体障害者支援施設及び保護施設、国立保養所、労災リハビリテーション作業所では、入院・入所者が病院長や施設長等の不在者投票管理者の下で投票を行うことができます。
この場合の老人ホームとは、老人福祉法に規定している老人ホームで、
老人短期入所施設
養護老人ホーム
特別養護老人ホーム
軽費老人ホーム
有料老人ホーム
のことです。
このような指定施設で不在者投票を行う場合、病院や老人ホームなどの中の一室で行うのですが、(この場所を投票記載場所)といいます。
この部屋(投票記載場所)の中には、候補者の氏名等を記載したポスター等の文書を掲示してはいけません。
もしもこのようなポスター等が掲示してある場合は、撤去しなければならないのです。
これはまだわかりますよね。
しかも、たとえ投票する選挙人の便宜を図るためであっても、投票記載場所及びその周辺い候補者等を掲示することはできないのです。
これは、公職選挙法施行令(昭和25年政令第89号)第125条の4に規定されているとのこと。
不在者投票を行う部屋の中にポスター等を貼っていけないのはわかるのですが、
一般の選挙にある、記載台の前の候補者名も貼っていけないのです。
困るのは、以前は普通に投票所へ行って選挙をしていたが、歩けなくなったりして投票所へ行けなくなり初めて不在者投票を行う場合。
不在者投票を行う入所者は、当然記載台の前に候補者の名前が貼ってあると思って選挙に臨みます。
しかし、記載台のまえには何も貼られていない。
「どうしてここに候補者の名前がないんだ!普通、選挙ではここに候補者の名前があるだろ!」と怒り出してしますのです。
最近は、不在者投票の依頼をもらう前と不在者投票の前に、会場内には候補者名はどこにも記載されていないので、候補者の名前等を覚えてから会場に入ってくださいということにしています。
それでも、なかなか覚えてくるひとは少ないですね。
どうして不在者投票の会場(投票記載場所)に候補者名を貼ってはいけないのかというと、不在者投票の場合、違う地域の選挙を同時に行う場合があるので、間違わないようにだそうです。
私は、老人ホームに36年ほど勤務して、その間不在者投票を行ってきましたが、違う地域の選挙を同時に行ったことは一度もありません。
もっと老人ホームの入所者が投票しやすい方法に変えて欲しいですね。
また、老人ホーム等の不在者投票の場合、知的や身体の都合で自分で文字が書けない場合は、代理投票補助者に書いてもらうことができます。
この場合、代理投票補助者は、2名一組となり、1人が代理記載人、もう一人が立会者となります。
ここで困るのが知的の方、家族から選挙はしなければならない、このように書いてもらいなさいなどを言われて生活してきたのでしょう。
代理投票補助者の前に来て、投票用紙に何と書きましょう?と聞いても、答えることができません。
名前等を憶えてきてといっても、もともと文字が読めない人だったりするので困ります。
投票する候補者名を教える人は誰もいないのですから。
しかし、選挙はしなければならないと教え込まれています。
そこで、白紙で出しても良いか?と聞くと、「ダメ!」と言います。
このようなやりとりが数分続き、やっと白紙で出すことを納得していただけるのです。
もちろん、候補者の一覧表を作成してその中から選んでもらったり、候補者が誰誰がいるのかは、投票誘導、投票干渉のおそれがあるのでできません。
候補者名は、投票記載場所でないところ、投票記載場所入口近くの廊下などに選挙公報若しくは立候補届出の告示又は新聞の切り抜きなどは置いてもよいことになっています。
私の勤務する施設では、投票記載場所の外の廊下に選挙公報を貼っています。
選挙公報を見て候補者や政党を憶えてきてねというのですが、その間に忘れてしまうようです。