牛や羊、カモシカなどは、反芻(はんすう)といって、一度食べたものをふたたび胃から口に戻して噛み直す習性があります。
牧場の牛などを見ていると、いかにものんびりと、モグモグと美味しそうに口を動かしていますね。
この様子から、反芻は食べられるときは、できるだけたくさん胃に詰め込んでおき、後で安全な場所でゆっくり味わって食べ直すために行われていると考えられていました。
しかし、これは間違いだったのです。
反芻動物は普通、4つの胃を持っています。
食べたものは、口で簡単に噛んだだけで、すぐ第1胃に送り込まれます。
ここでバクテリア類の助けを借りて消化された後に第2胃に送られ、
第2胃で小さな塊にされて、再び口に送り返されます。
それを、今度はドロドロの状態になるまでよく噛んだ後で第3胃に送り、
第3胃から第4胃へと送られていくのです。
第1胃は4つの胃の中で最も大きく、食べた植物の粗繊維などをどんどん発酵させています。
この発酵によりガスが発生し、その圧力が胃に満腹感を与えて食欲を減退させるのです。
つまり、反芻動物の胃は、食べられるだけ食べておくようにはできていないのです。
胃で発生したガスは、腸ならオナラになるのですが、こちらはゲップとなって口から放出されます。
主成分はメタンガスですが、これがバカにならない量で、オナラに含まれるもの(約1割)も加えて、日本にいる牛だけでも年間およそ28万トンにもなるといわれています。
このゲップとオナラが地球温暖化を招いている原因の一つになっているということで、国も本格的に対策を研究しているのだそうです。