日本の水道水には、水道法により塩素を入れなければならないことになっています。
私の住んでいる地域は、地下水が豊富なのですが、水道事業所でその地下水をくみ上げて、わざわざ塩素をいれて水道水にしています。
アメリカでは、たっぷり塩素を入れて安心できる水をつくるという考え方が基本になっています。
しかし、ヨーロッパは全く逆の考えです。
塩素などの薬品で処理することは、それだけリスクが伴うので、できるだけ自然に近い形で飲み水を確保しようと考えています。
その方法の第一は、塩素消毒をしなくてすむ良質の原水を確保すること。
たとえば、オーストラリアのウィーンでは、目の前に豊かに流れるドナウ川を使わずに、何百キロも離れたアルプスの泉水を引いてきています。
それだけでなく、ミュンヘンやパリなどは、水源の周りを保護地区として、泉水の汚染の防止を図っているそうです。
良質な水が確保できない場合は、長時間かけて砂の層で原水を浄化する緩速濾過方式(かんそくろかほうしき)が取られます。
たとえ、急速濾過方式をとる場合でも、沈殿池での時間を十分に取ったり、オゾン処理をするなど、上水への塩素の注入量をできるだけ減らす努力がされているそうです。