分類上、タコは貝やナメクジなどと同じ軟体動物に属します。
ナメクジと同じ仲間だといわれると、下等な動物のような気がしますが、タコの所属する頭足類(とうそくるい)というのは、軟体動物の中では超エリート集団なのです。
見かけによらず知能は高く、寿命はわずか1年から1年半ですが、もし20年、30年と生きることができれば、相当な知恵者になるはずだといわれています。
そんな知性派のタコは、狭い水槽に閉じ込めたりすると、ストレスがたまって病気になったり、精神錯乱を起こして自分の足を食べたりすることがあるそうです。
知能が高いだけあって、タコの目は脊椎動物に近い構造をしています。
ある研究者が蛸の図形識別能力を調べたところ、図形の形状だけでなく、大小、向き、明暗まで識別し、ネズミやハトよりも優れた学習能力(記憶力)をもっていることがわかったのだそうです。
はた、8本の腕(足)に並ぶ吸盤は、味覚の受容器でもあり、甘に、辛み、苦みを識別する能力は人間のおよそ100倍だといわれています。
また、タコのスミは、目くらましではありません。
タコの天敵は、ウツボです。
ウツボは潜り漁をする海女や漁師にもっとも嫌われている魚の一種で、泳いでいると足にからみついてくることがあるそうです。
タコがウツボに食いつかれてしまうと、スミを吐き出す以外防御の方法はありません。
しかし、食いつかれてしまった後にスミをだして、どのような効果があるのでしょうか。
以前は、タコのスミは目くらましの煙幕とかんがえられていましたが、その後、目くらましではなく、相手の嗅覚を攪乱させる作用があることがわかりました。
足を食われたタコの傷口からはウツボの大好きなエサの匂いが出るのですが、その匂いをスミでかき消し、第二、第三の攻撃を回避して決定的なダメージから逃れるのだそうです。