日本人は、巨石にも神が宿ると考えました。
秋田県の大湯環状列石をはじめとした「日本版ストーンヘンジ」もそのひとつとされています。
ここは、縄文時代につくられ、アニミズム的な儀式のばであったといわれているのです。
代表的な「巨石信仰」は、単体の巨石が「ご神体」となっています。
古代人たちはこの大きな存在に畏怖して、神域として結界を張ったのです。
石の周りをぐるりと縄で取り囲み、人間界と区別しました。
これが注連縄の起源だそうです。
こうした場所は神籬(ひもろぎ)と呼ばれ、祭祀が執り行われてきました。
やがて巨岩のまわりには、祭具を安置する簡素な建物がつくられるようになります。
これは儀式のたびに撤去されていたのですが、いつしか常設のものとなっていきました。
これが社殿の起源だそうです。
神性を帯びた石は、「磐座(いわくら)」と呼ばれ、祈りの場となり、いわば「プレ神社」として日本人の心に溶け込んでいきました。
これは、「岩倉」や「岩鞍」と表現されることもあるそうです。
この時代の名残を残す神社で有名なのが、和歌山県新宮市にある熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)です。
その摂社である神倉神社は、社殿に覆いかぶさるように、ごとびき岩という磐座が鎮座しています。
ほかにも、日本の各地に石船神社という名の神社が無数にありますが、この神社は社殿や境内に巨石を持っていることが多いです。
宮崎県高千穂町の秋元神社や、山梨県山梨市の立石神社にも、見ごたえのある磐座があります。
大阪府交野市の磐船神社では、磐座が複雑に重なり合っています。
このように昔から日本人は、巨石に神様を見てきたのです。