毎年、11月の酉の日に、鷲(おおとり)神社(大鳥神社ともいいます)で行われる祭礼を「おとりさま」と呼び、この日には神社の境内に市が立つので、「酉の市」と呼ばれてきました。
鷲神社は、もともと武運長久の神として、武士の信仰を集めていましたが、江戸時代になって祭礼の市で農耕具を並べたところ、「福をかきあつめる」「金銀をかきあつめる」縁起物としてとくに熊手が人気商品となりました。
さらに、七福神、お多福面、宝船などの縁起物や、黄金餅という粟餅、ゆでたヤツガシラ(サトイモの一種で、「八人の頭になれる」という縁起物)なども酉の市で売られるようになり、武運長久の神としてより、商売?盛や開運の神として、広く信仰されるようになってきたのです。
酉の市では、こうした縁起物を「安く買うほど縁起が良い」ということで、売り手と買い手の間で値段の駆け引きが盛んにおこなわれます。
そして、商談が成立すると、威勢の良い三本締めの手拍子が響くのです。
酉の日は、12日ごとに巡ってくるので、11月に酉の日が2回くる年と、3回くる年があります。
「三の酉まである年は火事が多い」といわれています。
これは、ひと月に三回も祭礼が立つということで、日常生活がゆるまないよう、気を引き締める意味合いがあったのだと考えられています。