甘い、しょっぱい、苦い、酸っぱいなどを感じ分ける味覚ですが、辛いという感覚は、痛いとか熱いという感覚と同じものなのだそうです。
口の中には、TRPV1という43度以上の熱に反応する分子があり、熱すぎる食べ物が口に入ると痛い、熱いと感じ、防御システムを働かせます。
これが、唐辛子の中に入っている辛み成分のカプサイシンにも同様に反応してしまうのです。
このようにして、唐辛子を食べると痛い、熱いと同じ反応になるのです。
最初はうどんに七味唐辛子をちょっとひと振りしていたのが、どんどん増えていって、今では麺が見えなくなるほど振りかけている人を見たことはありませんか。
このようになるのは、脳が”快感”に弱いからだそうです。
脳にとって、辛さと痛さは同じ刺激なので、痛みの感覚が続くと脳内にβ・エンドルフィンという脳内麻薬とも呼ばれる鎮痛作用のある物質が分泌されるのです。
人はこの快感を求めて辛いものを食べ、慣れてくるとより強い快感を求め、さらに辛いものを食べるようになるのだそうです。
辛いもの依存症などと呼ばれたりするそうです。
しなみに、辛さを緩和するためには、水よりアイスクリームなどの乳製品が有効だそうです。
乳製品に含まれるカゼインというたんぱく質が、カプサイシンと結びついて舌の神経を刺激しなくなるのだそうです。
辛さ、熱さを感じる分子とは逆に、冷たさを感じるTRPM8という分子もあります。
これはメントールの成分にも同様に反応してしまうのです。
メントールを含むミントやハッカを食べると、口の中がひんやりしたような錯覚を覚えるのは、このためです。
実際に温度が下がって、冷たく感じるわけではないのです。